褒美の磔☆ | げむおた街道をゆく

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賤ヶ岳の合戦を生きのびた佐久間盛政は、

変装して越前の山奥を二人の家臣と共に放浪していたが、
盛政が山道に足を痛め杖にすがらねば歩けぬほどになったので、

一軒の百小屋に立ち寄り、もぐさを借りて灸を焼いた。

この時、盛政はこの家の主人に、

「外の二人はともに旅をしている者達だが、

殊の外、草臥れているようなので、すまないが早急に飯を炊いて、
彼らに与えてくれないだろうか?」

百姓たちはこれを聞いて、

『この男は主人で、外の二人はこの足を痛めた男の家来だな。』

と察し、盛政に、

「わかりました。直ぐに食事の用意をするので、

飯が炊けるまでみなさんどうぞ、中でお休みください。」

と、家の中に入れ、彼らが休んでいる間に村の他の百姓たちに声をかけて集め、

大勢で棒で持って、よってたかって殴り倒し盛政ら3人を召し捕った。

百姓たちの思ったとおり、足を痛めた男は佐久間盛政、

他の二人は盛政の家来であることがわかった。
彼らは直ぐに北之庄の秀吉のもとに注進した。

秀吉は、捕縛され連行されてきた佐久間盛政の姿を見ると、

『なんと無情に縄をかけたことか。しかし是非に及ばぬことである。』

と、その後は縄を解かせ乗り物に乗せ、

宇治の槇島へと身柄を移させそこに監禁させた。
 

そして盛政を、捕縛した百姓たちには、
「褒美を与えるので捕まえた者も、それを手伝った者も皆参るように。」
と命じた。

 

褒美という言葉に我も我もと、

盛政捕縛時にその百姓の家に入った12人全員が、

秀吉の前に罷り出た。
 

これに秀吉、こう声をかける。
「この秀吉の理解している事には、

合戦に勝ち負けが生ずるのは世の習いというべきものである。
仮に秀吉が負けておれば、今日は人の身明日は我が身、

わしがお前たちにあのように、無情に縄をかけられたわけだ。

そう考えればお前たちは百姓の身で、

なんと不似合いなことをしたものかな!
今後の見せしめのため、

お前たちには褒美として、磔を与えてやろう!」

と、この12人の百姓を全員、磔にして殺したとのことである。

しかしこれは明智光秀を殺した百姓を褒めたたえ、

多くの褒美を与えたこととは全く逆の扱いであった。

だが
『百姓に討たれた者の方の、罪に軽重があったためである。』

そう、当時言われたと言うことだ。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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