加藤左馬助殿(嘉明)が、
家中の者を直ちに成敗致された時、
少し手負いなされたとのことを、
いずれの人も利家卿の御前で御話になり謗りなさったが、
利家卿は、
「いやいやそれは僻事である。両者身二つであるから、もし仕損じて手負い、
敵を逃した場合こそ落ち度ではないだろうか?
その者を仕遂げたならよくやったと申すべきだ。
軽傷を負っても仕遂げたならば落ち度ではあるまい。
信長公の御時はそういう批評だった。」
と仰せになり、「御もっともである。」と、各々は申された。
注・僻事(ひがごと)・・・道理にあわないこと。事実にあわないこと。不都合なこと。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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