ある時側近達が、歴史上の人物の話をしていたのを、家康が聞いていた。
時代はだんだん過去に、そして鎌倉幕府開祖の源頼朝の話になった。
「頼朝は確かに偉い。
だが彼は血を分けた弟達を無残に殺している。
これは少なくとも、第一級の人物に値しない行為だ。」
という意見がちらほら出てきた時、家康がおもむろに異議を唱えた。
「その見方は間違っている。
天下を治めるものは常に一人だ。
その他の兄弟は血縁とはいえ、家人同様絶対に服従しなければならない。
その事を忘れて、血縁に甘え、規律を乱すような事があれば、
天下の為に制裁を加えるのが筋道というものだ。
ただ弟を殺したから酷い人間だ、というような表面上な見方をしては、
頼朝の真価を充分に捉えたとは言えまい。
頼朝の行為は非情ではあるが、決して間違ったことではない。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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