小田原合戦のある日。
長期の対陣に家康も暇していたのか、
やおら弓を取り出すと城へ向かって射始めた。
と言っても流石に大城郭の小田原城、城に届かなかったが、
左右の近臣はオベンチャラで入ったと言い始めた。
それを聞いた家康、淡々と、
「いや、城までは程遠い。」
のみ言い、弓衆を呼ぶまでもないと、
近場にいたのであろう弓の名手である松平康安を呼ぶと矢を射るよう命じた。
康安も弓を射るも殆どが土居に落ち、ようやく一筋が城の塀に刺さった。
これを見た家康はようやく左右の近臣を向くと、
「康安程の名手でもこうなのだ、お主ら嘘を付いたな。」
と不機嫌に言ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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