朝日千介、剛者であるぞ☆ | げむおた街道をゆく

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徳川家康は武田勢の遠州田中城を攻めること数ヶ月に及んだが、
いまだ落とすことはできなかった。

城中には西郷伊予という者がいて、
しばしば戦いに及んだが、彼は驍勇比類無き人だったので家康は憂いていた。

ある夜、老兵たちは菅沼大膳(定盈)と西郷を討つ術を考えていた。
この時、十八歳の侍臣・朝日千介が進み出て、

「私なら西郷の首を取れます。」
と言った。

 

菅沼はこれを聞いて、

「お前のような小僧に何が分かるか!
西郷の剛勇は諸老輩といえども易々とはいかないほどだぞ。
それを妄りに討つなどと口にするとは傲慢不遜も甚だしい!」

と叱責して手を払って下がらせた。

 

千介は退くと、「明日を待て。」と独り言を言った。
 

千介はその夜更けに、密かに菅沼の愛銃を取って何処かへ出て行った。

まさに夜が明ける時、

岡部の陣にいた家康は西郷が単騎で数卒を率いて来たのを確認した。

「敵がまた出てきた! 誰か西郷の首を取れ!」

と家康が言うやいなや、

路傍の竹林より一発の弾丸が飛んできて西郷の肩に命中、落馬した。

すると、何者かが躍り出て直ちに西郷の首を切り、家康にこれを献じた。
 

その者こそ朝日千介であった。

 

家康は嘆賞して、

「お前は一人の少年だが、
老兵たちには為せぬことを為したな! 剛者であるぞ!」

と言った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ どうする家康・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!