太閤が岐阜を御攻めになった時のことだろうか。
滝川左近(一益)は7寸ほどの黒の馬に乗り、斥候に出馬した。
太閤は御覧になり、
「滝川自身が物見に出るのは夜討ち致す心積もりなのだ。
容易には打たれまいぞ。」
と仰せになり、太閤の御備に柵を御付けなさった。
滝川はこれを見ると、
「秀吉はこちらへ夜討ちする心積もりのようだ。」
と言って、その場所から3里引き取った。
太閤はその時に仰せられて、
「滝川の備へ夜討ち致そうと存じたが、滝川はよく察したようだ。」
との御事であったという。
両方の大将の思慮は、符節を合するが如し。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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