天正元年十二月に、不破光治は、
せがれの直光の嫁にある織田家重臣の娘を娶せようとした。
その重臣とは、先年の伊勢攻略戦で大活躍した滝川一益である。
不破家といえば、かつては西美濃4人衆に数えられた由緒ある家柄であるから、
婚姻の申し出を、一益が了解するものと考えていた。
ところが一益はにべもなく光治の申し出を断り、冷笑をうかべてこう言い放った。
「わが滝川家の娘は、しかるべき格式のある家に、嫁がせるつもりである。
不破家と言えば、西美濃3人衆に入れてもらえない、家柄ではないか。」
これを聞いた光治は、
「不破家はいまでこそ織田家の中堅家臣に甘んじているものの、
先祖は美濃国守護家の土岐遠山の嫡流である。
それにひきかえ滝川家は、今でこそ織田家で羽振りがよいが、
先祖の氏素性も定かではない、いやしい出自ではないか。
当家を侮ることは決してゆるさんぞ!」
と激怒し、手勢を率いて滝川一益の宿所に討ち入ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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