元和2年、三傑最後の巨木、大御所倒れるの報が天下を駆け巡ると、
世上に様々な風聞が流れた。
ある者は福島正則の、またある者は奥州王”伊達政宗”の、またある者は島津の反乱を囁やき、
江戸城内に不穏な空気が流れた。
そんな中、家康の見舞いに秀忠は、馬廻衆と共に強行軍で駿府に向かった。
駿府に到着し、拝謁を願った秀忠は、家康の代理人たる本多正純に詰問された。
「天下の将軍たる大樹様が、軽々しく江戸を空にするとは何事か、と大御所様は仰せです。
まもなく本復する故、直ちに江戸にお帰りをとの・・・・・・。」
「城の大手は、立花左近将監に託したと伝えていただきたい。
その上で、帰れと言われれば、
仰せに従おう。疾く取り次がれよ!」
秀忠の気迫に押された本多正純が、
「江戸城の大手を立花左近将監に託した。」
との秀忠の言葉を病床の家康に告げると、
一瞬、絶句した家康は次の瞬間、笑い出した。
「我れが大樹に及ばざるは、この一事に尽きるか・・・・・・よし大樹と会見いたそう。」
秀忠と会見した家康は、終始、上機嫌だった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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