渋江内膳の紛争収拾☆ | げむおた街道をゆく

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佐竹義宣の側近に、梅津半右衛門憲忠という人がいた。
特徴的な髭面で、勇猛な性格だった。


ある日、憲忠は気晴らしに、久保田に程近い荒屋まで鉄砲撃ちに出かけた。
後に佐竹領となるが、この当時、荒屋はまだ天領である。
 

ところが憲忠は無断で狩りを行っており、間もなく地元の百姓らに見つかった。
百姓らは憲忠を不審人物と判断し、鉄砲を取り上げようとする。
激しい口論となり、憲忠は百姓の一人を斬り、逃げた。

久保田へ逃亡した憲忠は、同僚の渋江内膳にこれを告げ、

自分は家に篭もった。
 

内膳はすぐさま登城し、義宣に事の顛末を報告した。
義宣は碁の最中で、話を聞いてあっさり「切腹」と沙汰する。
が、内膳は猛然と反論した。
「お家の柱石たる者の命をこうも簡単に決するとは…。
碁遊びなどしながら考えるからです!もっと真剣に考えてください!」

内膳は収拾に奔走する。
まず憲忠を領国の南・横手へ赴任させ、さらに家中より髭面の男を集めた。
 

そして、いよいよ荒屋から百姓側の使者がやってくる。
彼らもさるもので、狼藉者の容貌から、

容疑者が憲忠だということまで突き止めていた。


これに内膳はぬけぬけと答えた。
「ははあ、確かに家中には半右衛門という男はいます。
ですが彼は所用で横手におりまして、荒屋に行ったとは考えにくいですね。
それに、ほら、家中には髭の者はあのようにたくさんおりまして、

髭面というだけでは…。
…いやいや、決してそちらの言い分を疑うわけではありません。
では目撃者を連れてきて、あの髭の者達と対面させましょう。
もし、人違いであれば、言いがかりをつけた百姓は、一人も帰しませんがね。」

荒屋の者達は恐怖し、結局うやむやにされてしまった。
憲忠は後に、藩第一の重臣に上ることとなる。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 今の世に稀な律義者・佐竹義宣、目次

 

 

 

 

 

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