大塚権之助☆ | げむおた街道をゆく

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常陸を没収された佐竹義宣主従が、秋田へ向かう道中のこと。


山形の手前まで至ったところで、一行に緊張が走った。
山形城主の最上義光が、

出迎えと称して多勢を引き連れて出張ってきているという。
言うまでもなく、義光は生粋の徳川派大名で、今回の戦役の勝ち組である。
「まさか家康から指図を受けて、我らを…?」
佐竹一行が疑心暗鬼に陥ったのも無理はなかった。
 

やがて、義光は手勢は後方に待機させ、

単騎で待っているという知らせが入る。
ようやく一同は安心し、義宣も単騎で赴こうとした。

そこで一人、どうしてもお供をと名乗り出た武将がいた。
東家・佐竹義久の末弟、大塚権之助という男である。
義宣は権之助を連れ、義光と対面する。
「今回せっかく隣国にお越しになるんですから、

今後は気安く相談などしましょう。」
義光はいたって丁寧な態度で、互いに挨拶などして別れた。

行列に戻ってから、ある者が権之助に供を申し出た理由を尋ねた。
彼はこう放言した。
「いやいや、義光は信用し切れん。

もし何かやらかせば、おれが直ちに討ち取ってやるつもりであったわ。」
このように、権之助は不敵で武勇を誇る男だったという。

秋田に移った後、権之助は領国南部の横手城に配属された。
ところが何のトラブルがあったか、

舅方が彼に無断で妻を実家に引き取ってしまう。
怒った権之助、妻の実家に押し入り、舅らを斬殺した挙句、

自宅に立て篭もるという事件を起こした。
 

横手城代の須田美濃がすぐさま出兵し、

大塚宅を攻撃、権之助は討ち取られた。

久保田でこの報告を受けた義宣は嘆息した。
「あやつは側近くにおけば、必ず何か不届きな失態をするだろうと思っていた。
いざという時に役立つ男と見込んだからこそ、横手に置いていたのだが…。」

性格が限りなく悪い方に出てしまった勇者のお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 今の世に稀な律義者・佐竹義宣、目次

 

 

 

 

 

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