肥前の雄、鍋島直茂の晩年の話。
彼の隠居先の近くに小さな寺があった。
欠かさず日の出には鉦を叩き、お経をあげる声が聞こえてくる。
「奇特である。人間はあの坊主のようにわが職分に励みたいもの。」
すっかり感心した直茂は、
「何か褒美をとらせねばなるまい。」
と使いを出した。
が、寺をうかがいに行った家臣は顔色をかえて帰ってきた。
坊主は寝そべったまま、バチを足にはさみカネを叩いていたという。
直茂はうれしそうに笑い、
「苦しからず。手が足に替わろうが、カネの音にかわりがあるものか。
よきことは真似でもせよというではないか。
寺禄を与えてやれ。」
と言ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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