ある時、鍋島直茂が、城の木に接木をさせた事があった。
ふと、側にいた老臣に向って、
「お前も庭の木に接木をしないのか?」
と聞く。
すると老臣、
「いえいえ、私はもう歳ですから、今更接木をしたしたところで、
それが付くまで、私のほうが生きていないでしょう。
ま、枯れるに任せますよ。」
直茂、これを聞くと、
「お前は変な事を言うな?
お前が見るべきためにする事ではないだろう。
庭の木々を、子孫に伝えるのだと何故考えないのだ?
どんな事でも、物事と言うのは自分の為のみにするのではない。
はるか後世の、
未だ見ぬ他人のためにする、と言う心がけこそが大切なのだ。」
何であれ物事を成す時は、自分のため、今のためではなく、
人のため、未来のためと言うことを考えるべきだ。
それが直茂公の考え方である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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