上を向いて歩こう☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。


鍋島直茂の家老・鍋島安芸守茂賢は、

主君に用があって御座所へ向かったが、直茂はあいにく不在だった。

誰に聞いても行方を知らないというので城中くまなく探した所、
外堀に面した隅櫓に登っているのを見つけた。

「殿、こちらでしたか。なぜ、このような所に来られたのです?」
「ここは、佐賀の街が良く見える。

ここ二、三日、わが国の風俗を眺めておったのじゃ。
人通りを見ていて、感じた事があったのでな。

・・・嘆かわしい事に、この肥前国の侍どもは、弱くなり始めておる。」
「ほほぅ!それはまた、どういう訳でございましょう?」

「家老たるその方も、良く心得ておけ。

ここで街を往来する者を見ると、

大抵が伏し目がちに地を見ながら通る者ばかりよ。
これは、佐賀者の気質がおとなしくなったからじゃ。

勇み足を踏む位の気持ちでなければ、
槍も突けぬものだがな。
忠義も良いが、律儀に正直に、などと考えてばかりで、

心が固まっていては、功も立てられん。
時にはハッタリの一つもかまし、

胸を張り背を反らす気構えこそ、武士に必要な事よ。」

これを聞いた茂賢はホラ吹きとして知られるようになったが、

名家老としても名を残した。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 佐賀の雄・鍋島直茂、目次

 

 

 

 

 

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