鍋島直茂が往来するごとに、庶人らは皆出てきて拝伏していた。
ある日、直茂は近臣に向かい、
「衆人が拝しているのに黙しているのは謙退の道ではない。
だから駕籠から降りて答礼しようと思いはするのだが、
かえって下々も難儀ではないかと思い、いつも駕籠の中で目礼している。」
と語った。
この話を聞いた庶民らは、
「尊い君でさえこのようなのだから我々も。」
と、互いに謙退辞譲を守り、親睦を深めたのだとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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