鍋島直茂は、家臣が中央のことを知らないために万事不都合なので、
稲垣権左衛門という者を召抱えて二百石を与えた。
ある日、直茂が高伝寺に詣でると、門に張札があり、
『御譜第の者だに取らぬ地行をば、いながきが来て二百石取る』
と書かれていた。
直茂は帰宅すると、
「譜代の者には何の沙汰もないのに、他方の者に知行を与えたのでは、
合点がいかないのも無理はない。
私たちは誤りによって恐縮することもあるだろうが、
公儀に対して不調法だったとしても国家の害にはならないはずだ。」
と言い、権左衛門に経緯を話して諭し、暇を賜ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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