干し柿の種☆ | げむおた街道をゆく

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鍋島直茂の家老に、多久与兵衛安順という男がいた。

ある日、重臣たち総出の会議が長引き、腹の足しにと、茶と干し柿が振舞われた。

与兵衛は何を思ったか、干し柿を食べ終わったあと、

残った種を畳のへりの間に押し込んで隠し、そ知らぬ顔をしていた。
 

しかし、彼の主君は些細なことも見逃さない男だった。
会議も半ばというのに、上座から直茂が叫んだ。

「誰かある、大工を呼べ!!」
大急ぎで大工が呼ばれると、直茂はさらに命じた。

「そこの畳、全部剥がせ。」

当然、群臣は困惑した。

「もう遅いし、明日にしません?オレらも手伝いますから・・・」
「良いから剥がせ。」

しぶしぶ大工が畳を剥がし終えると、

板敷きの上に柿の種が転がっていた。
「よし、その種を捨てたら、畳を元通りにしろ。」
もちろん全てが終わるまで会議は中断され、

多くの者が迷惑がり、与兵衛を恨んだ。

この話が広まり、あえて与兵衛に柿を出す者はいなくなり、

与兵衛はその後、一生柿を口にすることができなかったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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