ある者が八戸の宿の通りで、腹の調子を崩した。
近くの町家に走り込み、便所を借りたいと頼むと、
その家に若い女が一人いて、奥にあると教えてくれた。
ある者は、その場で袴を脱ぎ捨て便所へと駆け込んだ。
そのあとに町家の亭主が帰宅し、脱ぎ捨てた袴を見つけ、
留守の間に密会をしていたのだと思い込んで口論となり、
それでも収まらず訴訟沙汰となった。
直茂さまは、この事件をお聞きになると、
「密通でないとしても、女一人の家で無遠慮に袴を脱いだことは油断である。
女も、夫の留守に見知らぬ男に袴を脱がせたことは油断である。
いずれも密通同然のふるまいだ。」
と仰せになり、両人に死罪を命じられた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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