おしき武士を討ってはならない☆ | げむおた街道をゆく

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武田家の滅亡後、真田昌幸が室賀兵部を攻めていた時のこと。
 

室賀の城より、6尺(約180センチ)あまりの大男がただ一人、

5町(約500メートル)ばかり出て物見をして、

馬に乗って帰っていった。

これに、昌幸の配下である大熊五郎左衛門の足軽が一人追いかけ、

「逃さじ!」

と声を上げたが、
この武者は、少し振り返っただけで、そのまま静かに退いた。

その姿を見た昌幸が、左右の者達に、

「あれは何者ぞ!」

と尋ねると、
「あれこそ、松澤五左衛門です!」

と申し上げた。

彼を追いかけていた足軽は、3町ばかりの内に追いつき、斬りかかった。
五左衛門、手を差し伸ばして、この足軽の髻を掴んで引き伏せ、

足で踏んで首を掻き落とし、
田の中へ捨てると、何事もなかったかのように再び退いた。

これを見た真田勢は、

何れも槍を押し取り、馬に打ち乗り、五左衛門を追いかけようとしたが、
昌幸は采配を以ってこれを止めた。

「室賀は小身者である。

おっつけ踏み潰して、

私は、あの五左衛門を我が手に付けるであろう。
おしき武士を討ってはならない。」

その言葉通り、後年、松澤五左衛門は真田の臣となった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 表裏比興の者・真田昌幸、目次

 

 

 

 

 

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