岡部権太夫の指物☆ | げむおた街道をゆく

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北条と佐竹が、下野において争った折の事。

北条方の武士、岡部権太夫は首を一つとって陣へと帰ってきたが、

何かおかしい。
よくよく身の回りを見ると、

なんと自分の指物がなくなっている。

「しまった!落としてきたか!」

そう悟ると、「ゴメン、ちょっと行って来る。」

 

北条家の者達が唖然とするなか、

彼は首を引っさげたまま、再び佐竹の陣へ向かって馬を駆けた。

敵陣近くまで来ると、岡部は大音声を上げた。

「わしは下総の住人、岡部権太夫と申す!

今日の戦において敵と組討し、首を一つ取ったが、
そのおり我が指物を落としてしまった。

この首はまだ、実験に入れてはおらぬ。

出来ることならこの首と我が指物を、

取り替えていただきたい!

我が指物は猪の紋である!」

すると佐竹側から一騎が進み出てきた。

手に、指物を持っている。

「戦場で拾い申した!これの事でござるか!?」

「おお!いかにも!」

そこで、指物と首を交換し、互いに分かれて自陣へと帰っていった。
このことは両陣において、ゆかしき振る舞いであると、評判になった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 小田原評定・北条氏政、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!