分別とは☆ | げむおた街道をゆく

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黒田長政が小早川隆景と語った時の事。

 

長政が訊ねるに、
「人はあなたを天下の分別者だと言います。

分別とはどのようなものでしょうか。」

 

それに対する隆景の答えは、
「分別というのは知恵のことで、

知恵をもって色々なことに個別に対処することを言います。
そして世の中広しと言えども、

あなたの父・如水殿ほどの知恵を持った人はいません。
私も知恵では如水殿には到底及びません。

父上の言行を学ばれたら、あなたは天下の分別者になれるでしょう。

しかし、世上が私を分別者と言い、如水殿の事を言わないのはなぜかと言えば、

それもまた如水殿が無二の知恵を持つからです。
如水殿に何か相談すれば、速やかに事の善悪を分別し、

これはこれと最も良い配慮、判断を下してくれるでしょう。
その判断に聞いた時、例えば秀吉公のように聡明な人には、

その分別の正しさを汲みとる事ができるでしょうが、
大抵の者はその分別の速さ深さについて行けず、

大丈夫だろうかと無用の不安や不信に駆られてしまうのです。

私などは愚鈍なため、当座に決めたことについても、

今一度思案してから相談するという具合なので、
却って分別者のように思われているだけで、

如水殿の速やかな決断と比べたら劣ることばかりなのです。
分別者になりたければ、如水殿の知恵を学び、分別者と呼ばれたければ、

即断する前にひと思案されると良いでしょう。」

長政はさらに訊ねた、

「では分別に肝要の事というのはありますか。」

 

隆景は答えて、
「分別の肝要は仁愛です。

万事を決断するのに、仁愛を持って分別すれば、

思慮が外れてもそう大きくは間違いません。
仁愛なき分別はいかに才知が巧みであってもみな誤りです。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 仁将・小早川隆景、目次

 

 

 

 

 

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