豊臣秀吉による文禄の役に際して、朝鮮に渡った小早川隆景らが、
朝鮮の首都である漢城を攻めた時の逸話である。
軍議において、作戦を立案した石田三成が、
自信満々に、
「小早川殿、この作戦に非の打ち所がありますかな?」
と尋ねると、隆景は、
「申し分ない。」
と返答した。
しかし、三成から、
「秀吉公の命を受け、
戦略を合議で決める為に渡海されたのですから、意見を伺いたい。」
と言われた為、
「このままでも勝利は間違いないが、
戦というのは何が起こるか分からぬものなので、
負けた時の事も考えておいてはどうか。」
と述べた。
この的確な助言を聞き、無礼を謝して作戦を練り直した三成が、
「漢城の近辺に城を築いて万一に備える。」
という案を示すと隆景はただ一言、
「よし。」
と告げた。
後にこの城は、退却を余儀なくされた際に、
一時逃げ込む場としておおいに役立ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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