伊達政宗が、山形城を訪れての夕刻過ぎ、義光の近臣らが行き来する中に、
政宗は壮年武士の中にただならぬ雰囲気を纏わせた、
伊良子宗牛と成沢道忠といった、老武者の姿を見つけた。
政宗が、
「伯父上、あの者たちは?」
と問うと、
義光は、
「あの左側にいるのが伊良子宗牛と(堀喜吽の従兄弟の)山名一吽で、
わし(義光)の七宝のひとつだよ。
右に座っているのが成沢道忠と氏家守棟に延沢満延。
ふたつとない、かけがえのない国の宝だ。」
と破顔して答えた。
政宗、
「…。(あれが柏木山の戦いで父の輝宗が苦汁を舐めさせられた伊良子と成沢か!)」
政宗は義光の言に、キッと二人を睨めつけたと言う。
その晩の政宗の機嫌は、頗る悪かったと伝わる。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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