寒河江白岩落居之事☆ | げむおた街道をゆく

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寒河江橋間の羽柴勘十郎(大江頼綱)が、最上軍の銃撃で討たれると、

大江軍の勢は、「せめて一太刀。」と、

城外へ斬り出て名乗りを上げて討ち死にする者や、

老母妻子を思い落ち行く者もいた。
昨日の平穏は、今日の戦乱の前には夢の滴に等しい。

最上軍の将兵は、

大江軍の残軍を掃討しようとしたところ、義光は鶴声を発っした。
義光、

「追撃を止めよ。狼藉もするな。

兜を脱ぎ武器を捨て投降する者は羽柴の一族であろうと害してはならぬ。
落ち行く者は見逃せ。守りを固め備えを崩さず控え、暫く攻撃を休め。」

寒河江城内にも、この義光の声を聞き、兜を外し旗を巻き、

続々に降伏する者が現れた。

最上義光は、戦死者の塚(墓)を築き、寒河江の戦死傷者の一族を労り、

怪我人には薬や米を与え、

名のある者やいくさ働きで最上軍によく反撃した士卒を召し出し、旗本へ加えた。

降参した兵共には、

「恥は去物。新恩に励み努め。」

と声を掛け、
最上義光を昨日迄は敵と見做していた者も、情は味方怨は敵と、

人質や誓紙を用意し、武装を解いて臣従してきた。

白岩城には、松永右衛門といった大江家の重臣で、

近郷遠村を纏める者が、

「勘十郎様の弔い合戦ぞ。」

と気勢を上げていたが、
松永に味方し最上軍に弓を弾こうとする者はなかなかに集まらず、
白岩に篭っていた者も、

「いくさは止めじゃ。」

「我も我も。」

と兜を脱ぎ城門を出、松永勢は目も当てられない有り様となり、
ついには右衛門を先頭にまとめて、

氏家守棟の陣に降伏を請取りに来た。

守棟は右衛門を義光の下に連れて行き、
義光は、松永父子の本領を安堵すると、

「政を糾し猶忠勤を励むように。」

と命じると、代官を右衛門につけ、
寒河江で新たに幕下に加えた旗本を引き連れ山形城へと帰っていった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 出羽の驍将・最上義光、目次

 

 

 

 

 

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