ある時の2月初旬、
伊達政宗は、具足を飾らせそれを見ながら言った。
「私は若年の頃より、誠に具足によって育てられたようなものだが、
この頃は弓を袋に、剣を箱に収める御代であるので、
この様にたまたまこの具足を見ると、一層珍しく、
その面影、昔恋しいものだ。
願わくば、馬にも未だどうにか乗れる間に、これを肩にかけ、
老年の思い出のなぐさみとして、一合戦するのが望みである。
未だ君(将軍家光)もお若い。
なので、甲斐甲斐しくとは行かないだろうが、合戦にて君を指導し、
また私の若き子供たちを指導すること、これのみが今の願いである。
しかし徒に年月を送ってしまったよ、口惜しいことだ。
もはやこの具足も、このまま、これにてこそ。」
そう語ると、ハラハラと涙を流された。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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