伊達政宗公の、ある時の御話に、
「人間という物はな、仮初めにも身分の高下で分け隔てしちゃいかんぞ。
一座の内に二人居たとしたら、身分よき人をその身分通りに、
身分が下の者も同じようにもてなせ。
これは万事に渡る心得であるぞ。
次に、また人々が口癖で、変に面白い言葉使いたがるよな?
最近、『以前にこれこれの事があった。』という事を、
『右にかやうの事御座候。』なんて言うが、
こんなものに言われは無い!
いいか?『右』というのは、例えば札や、その他書物などに何々と書きたて、
その止まりに、『右条々』と書くものだ。
話し言葉で『右』なんて使ういわれは無い!
他所の連中がそんな事を話していても、
我が家中においては『右』という言葉と、
『冥加なき』と、『御念の御使』という言葉は通用しないと思え!
だいたい冥加がないのなら良いことではないか!
念を入れるのは良い事だが、
ただ『御念の御使』なんて言われても意味がわからん!
こんな言葉を使うようなら、誰であっても罰則を申し付けるぞ!」
そう御立腹された。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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