大坂冬の陣が和睦となって、従軍した諸大名も皆閑暇となり、
このため幕府方の陣中では訪れた者に対し、
何れの方でも、景物(景品)を競う香合せ(香の香りで銘を当てる遊び)をしていた。
そのような所に、伊達政宗が参った所、
「幸いなり香をおかぎあれ。」
と勝負をした。
何れも鞍、障泥(馬の鞍の下にひく泥除け)、弓箭などを景品として出したが、
政宗は腰につけた瓢箪を出した。
これに対しては何れも、可笑しな景品であると言って取る者が居なかった。
最終的にはこの香合せの亭主の家来が、この瓢箪を取って終了した。
政宗が帰る時、飾りをつけたままの自分の馬を、
「瓢箪から駒が出たぞ。」
と言って、瓢箪を取った者に与えた。
はじめ、
「奥州の大将の景物よ。」
と笑った者達は、この時に至って羨ましがったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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