豊臣家に使え、大坂の陣の後、伊達政宗に使えた者の中に、
和久是安という書の達人として、聞こえた人がいた。
ある時、政宗が是安に、
「何か書いてみよ。」
と命じた。
だが是安は、
「奥州は水が悪く、その為、そんな水を使っては書けません。」
と断った。
「何処の水でも関係ないだろ。」
そう、政宗は呆れながら言ったが、
是安は、
「そう言うことではない。京の柳の水でなければ私は書けないのです。」
と、そう言い張った。
そこで政宗、企んだ。
京の柳から密かに水を取り寄せ、それを地元の水だといって出し、
是安が文句を言ったら恥をかかせてやる。
そうもくろんだ。
だが、
「これです!この水なら書けます!これが地元の水!?そんなわけが無い!
これは間違いなく柳の水です!」
是安は一目で見破ったのだ。
この眼力に、流石の政宗も騙そうとしたことを告白し、
書き上げた筆跡の見事さに、感心することしきり、だったとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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