島津忠恒の屋敷に入り浸る☆ | げむおた街道をゆく

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伊達政宗は一時期、島津忠恒の屋敷に入り浸っていた。
 

政宗は宴会が好きである。
忠恒は酒が大好きである。 

 

この二人が揃えば、
「どうして、いや当然こうなった・・・。」

明け方になっても、呑んだくれ騒ぎまくっていた。
 

迎えに来た政宗の重臣・茂庭周防良元は、この有り様に頭を抱え、

忠恒の家老・伊勢貞昌に相談した。

「あの状態で口出ししても、かえってゴネて居座りかねません。どうしたものか。」
 

「うーん、ならば政宗公に大盃を差し上げては?

あの方は、大盃は『酒が進み過ぎて宴が早く果てる』とお嫌いのはず。
よって大盃を差し上げれば、それと察してお帰りになるでしょう。」
 

「うむ。その様にお願いいたす。」

 

「では、早速に。」

夜からぶっ通しで遊び騒ぐ政宗の前に、貞昌が進み出た。

 

「その盃では、お酒が進みますまい。これをどうぞ。」
 

「・・・・・! 長居しすぎたようだな。」

顔色を変えて席を立ち、宴の間を出た政宗は、廊下に平伏する良元を見て、爆発した。

 

「お前の差し金か!」
政宗は良元をさんざんブン殴った上、髷を掴んで投げ捨てた。

 

「フン、興が削がれたわ。帰るぞ!」

起き上がった良元は、落ち武者のように乱れた衣服や髪もそのままに、
 

「いやぁ、拙者などは若い頃から小姓として政宗様に仕えておりますが、

政宗様のお心に背いた時は、こうして殴られたものです。

まぁ今もって変わらず、今日もご覧の通り。」

そう言って笑い、島津家を後にした。

「う~む、他人の前で重臣を折檻するとは・・・奥州の名門も何だか危ういのぅ。」
島津家の面々は伊達家の者をそう批評したが、

ひとり伊勢貞昌は、これに異を唱えた。

「いや・・・周防め、侍たる者が他家の者の前で辱しめられながら、

表立って主君のグチを言わず、かと言って格別自分が卑屈になった訳でもなく、

涼しい顔で帰りおった。

ああいう男がいる限り、伊達家は次代も安泰だろう。」
 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!