伊達政宗が大坂へと上る途中、相模の中原と言う所で鷹狩りをした。
ところがそこは徳川家のお鷹場であり、この地域の奉行の大岡伝右衛門は、
その事を知ると、なんと槍を手にして、政宗の元に物凄い勢いで走って来た。
怪訝な顔で大岡を見る政宗に、
「き、貴殿はここが、徳川家の鷹場とご存知で、この様な狼藉をなされているのか?
私はここを守るように言われている身分です。このままでは言い訳が立たない!
早々に私の首を取って、家康公の前に持って行って頂きたい!」
政宗は当惑した。
この男、本気で首を取られる気になっているのだ。
「さあ斬れ、今斬れ、すぐに斬れ。」
と叫んでいる大岡に、政宗は、
「いや、お前が責任取らなくていいように、俺が家康公には色々言っておくから、
とりあえず落ち着こうよ。な。
ここで鷹狩りしたのは俺が悪かったからさあ…。」
何故か大岡をかばう羽目になった政宗。
どうにかこうにかなだめ引き取らせた。
大坂についてから家康にこのことを話すと、家康も笑いながら、
「まことに失礼いたしました。
どうか、大岡の無礼を許してやってください。
あ奴の家も安祥以来の譜代なだけに、主命を大事にしすぎまして…。」
すると政宗は、
「まあ、私も有名人だから、彼も張り切っちゃったんでしょう。」
と、変な納得をした。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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