家康と政宗の鷹狩☆ | げむおた街道をゆく

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伊達政宗公が、或る時お話されたことに。

「あれは家康公の天下の時のことだ。

私は鷹狩に出たのだが、私の鷹場と公儀の鷹場の境まで進んでも、

獲物が思いのほか少なかったので、

公儀の鷹場にこっそり忍び入ってな、そこで鳥を3つか4つ獲り、

その上鶴まで合わせて獲った。

が、その時だ。

私の鷹場の方から、大勢が鷹を使っている様子が見えた。

不審に思っていると、それはなんと家康公の鷹狩の一団ではないか!

これはいかん、見つかったら怒られる!
我々は慌てて大騒ぎし、鷹と鳥を隠して逃げ出した。

ところが家康公は御馬を早め、空堀の中に入られ、

人馬を下知して皆堀の中に呼び込み、
堀に紛れて急ぎ御退きになられた。

私はその時、御退きになった先に鳥があってお急ぎになったのだと思ったが、

とにかく我々はこのラッキーに竹林に紛れて隠れ逃げた。

その後、家康公が江戸にお帰りになったので出仕すると、

私に仰ったのは、

『伊達殿、あの時私は其方の鷹場に盗み入ったのだ!

しかしそこで其方の居るのを見つけ、
これはまずいと、つい堀に紛れて逃げてしまった。

こんな事は私の一代にないことだ!
しかしこの様に降参した上は、どうか許してほしい。』

なんと謝罪されたのだ。

 

私はこれを聞いて、

『さては、そういうことでござったか!

早く見つければ是非捕らえて曲事に出来たのに!
…ではありますが、実は私も、その日は公儀の御鷹場に盗み入って、

家康公の御成を見つけ、慌てて逃げ退いたのです。』

と正直に申し上げた。

 

すると家康公は、

『さては、そう言う事だったのか!

そういえば今考えれば、其方も竹林の影に隠れていたなあ。
私に気を使って隠れたのかと思い、猶急いで息を切って逃げてしまったよ。
あの時、互いにこの事を知っていたなら、逃げながらも息を休めて、

ゆったりと退けたのに。

とにかくこの事は、双方に咎ありだな!』

そう、どっとお笑いなされた。

御前に伺候の衆も、腹を抱えて爆笑していたよ。」

と物語されたのである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!