吉野の花見にて☆ | げむおた街道をゆく

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文禄3年(1594年)、豊臣秀吉が大々的に行なった吉野の花見でのこと。

この時、秀吉は徳川家康、前田利家などの大名、公家など総勢5千名を引き連れた。
彼らは吉野山に数寄を凝らした茶屋を建て、様々な扮装をするなどしてこれに参加した。

さて、ここには伊達政宗も参加していたのだが、
政宗とその一行はそろって檜笠・鈴懸の衣・金剛杖で大峯山の山伏、という扮装。


この山伏コスプレ集団が通りかかると、とある一軒の茶屋には右大臣菊亭晴季、

大納言徳川家康、中将前田利家の3人が座っている。

その向かいの茶屋にもまた歴々の武家・公家の面々が、

腰をかけて休んでいる。

「はてさてどこに入ろうか。」

そんな風情で山伏集団、そこを通りすぎようとするとその時、

あたりに轟く大声で、
「お客の僧よ、立ち寄ってください!

私はこの茶屋で召し使われている下人です。

お茶でもその他でも、
お代次第で何でもお望みのものを出しますよ!」

そう『天下三大声』と言われた声を響かせ唐人うちわで政宗たちを招いたのは誰あろう、

太閤秀吉である。

これに政宗、いかにも芝居じみた形で、
「そうか!我々は大峯からここまで駆け出てきたため足も疲れ、

漸く休もうというところだ。
茶などよりも良き燗で、酒をひとつ飲みたいものだ!」

そして供をしている五郎という家臣に「法螺貝を吹け!」と命ずると、

この五郎も何の躊躇もなく、
持っていた法螺貝を2つ3つ吹き、

「斎料を下さい。」

と言い出す。

この政宗一行の山伏コントに、秀吉始め一同腹を抱えて大笑い。
しかし向かいの茶屋に座って居た前田利家、こんな雰囲気は良くないと思ったのか、

あるいは政宗の笑いを理解できなかったか、

居住まいを正し、
「さてさて、今日のお花見はひとしおのどかで、草木心無しと申しますが、

花にも心があるように見えますな。」
と申し上げる。

この利家の空気を読まない真面目くさった発言が却って更に面白く、

皆爆笑し、笑いが止まらなくなったという。
 

そしてしばらくしてから秀吉、政宗に、
「さてさて、今日の花見で扮装が見事だったのはわしとお主だけじゃ!

茶の物数寄天下一はこれで決まったな!」
と笑って言ったという。
 

伊達政宗、大面目である。
 

しかしせっかくの山伏コントは、

前田利家が変なところで爆笑をかっさらって行ってしまい少々残念。
 

そんな伊達政宗の吉見の花見のお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 独眼竜政宗・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!