振り上げた刀☆ | げむおた街道をゆく

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伊達政宗が鷹狩りに出かけたある時、その途中で芝の上に寝転がり、
よほど気持ちが良かったのか、そのまま昼寝を始めた事があった。

政宗、スヤスヤと寝入ったが、この時俄かに雨が降り出す。
 

付き従っていた近習が、政宗を起こした。
「殿、雨が降り出しました。目をお覚まし下さい。」

が、気持ちよく寝入ったところを起こされた事は、独眼竜の逆鱗に触れた。
「誰が起こせといった!」

政宗、傍に置いた刀を抜くと、刃をその近習に向けた!
寝起きの独眼竜の目は本気だ。

近習、逃げる。

が、逃げられれば政宗も当然追いかける。
 

そのまま2,30間(4~50メートル)ほども、

抜き身の刀を振り回しながら追いかけた。

これが、政宗に雨が降りかかる事を心配した、

その結果の出来事なのだ。

近習、逃げているうちに、流石にその馬鹿馬鹿しさに気がついた。
はた、とその足を止める。

そしてくるりと振返ると、そのまま政宗の前につかつかと歩み寄り、
「君臣の礼もこれまででござる!さあ!お手に懸けられよ!」
と、その場に胡坐をかいた。

『もう勝手にしろ!殺すなら殺せ!』

というわけだ。

おそらく途中から追いかけることが面白くなっていた政宗、

こう言う態度に出られて、ふと冷静に戻ってしまった。

しかし振り上げたこの刀、さて、どう治めたものか?
 

そうだ!
「何を勘違いしておる!?」

政宗、近習を叱り付けた。
「わしはお前を斬ろうとして追いかけたわけではない!」

「ええっ!?」あんた、殺る気満々だったじゃないか!?
近習が吃驚した顔を向けると、

政宗、
「わしは、お前がわしを起こしてくれた褒美に、

この刀を与えてやろうと思って、追いかけたのだ。

それをわしが殺そうとしたように取るなどとは、

まったく、ひどい思い違いだ。」

と、抜き身の刀を投げ出して、その近習に与えた、とのことである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 独眼竜政宗・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!