老婆を背負った百姓☆ | げむおた街道をゆく

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伊達政宗は鷹狩が好きで、家臣を引き連れての鷹狩を、

度々楽しんだと言う。

ある時のこと。

政宗の狩りの行列の前を、老婆を背負った百姓が横切った。
大名の行列を横切ること、これは例え狩りのものであっても、

重大な罪である。

「無礼者!」

政宗の家来たちは刀を抜いてその百姓に迫った。

 

百姓は青ざめて土下座をし、
「母親が急な病で苦しみだし、

急いで医者のところに連れて行く最中だったのです。
お殿様の行列とは知らずに横切ってしまいました。

どうかお許しください。」

政宗はこれを聞いて、
「よいよい、許してやるのだ。

親と言うものは一度なくしてしまえば二度と持つことが出来ない。
さあ、早く医者に連れていけ。」

そう言って百姓を逃がしてやり、さらにその後で、

親孝行の見本であると褒美まで下した。

さてさて、とある怠け者の百姓が、これを聞いて思い立った。
「俺もその真似をしてご褒美をもらおう!」
この怠け者は、病気でも何でもない母親を無理矢理に背負うと、

政宗の狩りの行列の前を横切った。

「無礼者!」

家来たちがまたも刀を抜いて迫る。

ここまでは計算通り。
が、この怠け者、刀が怖くて口を開くことができなくなってしまった。
今にも叩き斬られそうにな息子に、慌てた母親が叫ぶ。

「このバカを育てた母は私です!

どうかこのバカの代わりに、こいつをこのように育てた、
私を斬ってください!」

政宗これを聞いて、

「よしよし、許してやるのだ。
それからそこの若いの、

よいか、いつまでもあると思うな親と金。
真似事でも良いから、親が生きているうちに孝行をして大切にせよ。」

そういって逃がしてやった。
怠け者はこれに恐れ入り、それからは真面目に働くようになったのだとか。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 独眼竜政宗・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!