まだ津軽為信が、大浦為信と名乗っていた頃の話。
津軽統一を目指す為信は、南部家臣の猛将、
滝本重行の守る大光寺城を攻略しようとしていた。
天正2年(1574年)8月、為信は4,000の兵で大光寺城を取り囲んだ。
対する滝本重行の兵はわずか700。
楽勝に思われたこの戦いだが重行は兵力差に怯むこと無く、
大浦軍がぬかるみに踏み込んだ所で突撃を仕掛け、
小回りが効かなくなった大浦軍は対応出来ず、
為信は危うく討たれそうになりながら敗走するという惨敗を喫した。
正面切って戦うのは得策では無いと悟った為信は、
重行の「油断する瞬間」を待った。
そして翌年の天正3年(1575年)元旦、ついにその瞬間が訪れる。
大雪が降って視界が効かないという行軍に向かない悪天候、
そして正月という晴れの日…。
これら「気が緩む要素」が揃ったこの日に、
為信は再び大光寺城攻略の兵を挙げたのであった。
驚いたのは重行である。
今日が正月であるという事以上に、
この大雪の中で攻めてくるというセオリー破りに意表を突かれた。
今までの苦戦が嘘のように大光寺城はあっさり陥落し、
重行は大雪の中敗走する他なかった。
こうして大浦為信の津軽統一の野望は一歩前進したのでしたというお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!