島津義久は、肝付氏の牛根城を攻めるため、
近くに砦を築き、弟の家久にこれを守らせた。
ある日、折からの風雨に紛れ、逆に肝付軍が奇襲を仕掛けて来た。
しかし家久、少しもあわてず三尺五寸の太刀を抜き放つと、
「多手に祈誓致しその功徳蒙る、愛宕山の太郎坊、大天狗小天狗、
各も家久が太刀先を守護せしめ給へ!」
と叫んで突撃すると、肝付軍の河南安芸守という勇者が向かって来たので渡り合い、
兜ごと頭を叩き割って倒した。
あまりの家久の強さに肝付軍がひるんだ所を、追いかけて谷底に突き落とし撃退した。
砦に戻った家久は手傷を負っていたが、涼しい顔をしていたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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