柴田勝家が、織田信長より越前を与えられた頃のこと。
勝家はある夜、その配下の武将を集めて振る舞いをした。
この時勝家、酒も入って大変に機嫌よく、前田利家にこう話しかける
「又左殿(利家)聞き候え、
最近はあの表裏者である菅屋(長頼)や明智(光秀)が信長公のお側で出頭しておる。
又左殿!指を折って考えてみよ!今まで26回、
この柴田の手柄故に勝利を得た!
そして信長公直々のお礼も承った。
わしは何者が出頭したとしても恐ろしくないぞ!
さあ又左殿も指を折って数えるのだ!」
これに利家、
「おやじ(勝家)は人持ちでもあるから、先陣をされて度々手柄もし、
また槍を入れることも半鐘を鳴らすように度々であって、
その武勇は今の世には並びなき人です!
では私も言わせていただきましょう!」
と、指を折りつつ利家がこれまで、所々でなした18度の手柄について語った。
これに柴田勝家は一層機嫌良くなり、
「細々としたことを期限に間に合わせ、
どうということもない内容を格式張って話す、そんなことをいくら嗜んだとしても、
合戦での働きがなければまるで意味のないことだ!
今の時代は武勇を仕ろうとするなら、いくらでも機会がある世の中である!
又左やこの柴田は、信長公へも傍輩衆へも、その前に出て恥ずかしくないぞ!」
と言い、大いに笑ったそうである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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