庄林理助という者が、氏郷の家臣・西村佐助に、刃傷に及ぶ事件があった。
庄林は事件後、徳川の家臣である久世広宣の元に逃げ込んだ。
氏郷は庄林の引渡しを求めたが、
頼られた者を引き渡すのは武士の沽券に係わる。
当然久世はそれを拒否。
一時は蒲生家と徳川家の間に不穏な空気が流れるほどの事態になった。
しばらく時間がたち、一時の熱さが醒め、両家の間も平穏になる。
家康は氏郷を邸宅に招いた。案内され広間を通ると、
一人の侍が大小を後ろに放り投げ、
丸腰となって氏郷の前に進み、名乗りを上げた。
庄林理助であった。
「西村との事は私怨でありましたが、
それが、蒲生、徳川両家にまでご迷惑をかけたこと、大いに心苦しく、
氏郷様にも嫌な思いをさせたことと思います。
どうか、存分にご成敗ください。」
静かにそれを聞いた氏郷は、
「お前は感心な侍だな。昔の事など、気にしてはおらぬよ。」と、
家康に断って庄林を近くに呼び、杯を与えた。
たとえ自分の家に泥を塗った者でも、
前非を悔いるものにはあえて罰を与えようとはしない、
氏郷の度量の大きさに、家康も感心することしきり、だったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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