臆病権内☆ | げむおた街道をゆく

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筒井順慶の家臣に、板倉権内と言う者がいた。

この権内、どうしたわけか彼のことを、

「臆病者である」と誰かが言い始め、
やがて家中は勿論、隣国までその評判は伝わり、

臆病者の話が出ると「筒井家の権内か」と、
世間で言われるまでになった。

権内はこのことを大変口惜しく思っていたが、

誰がということではなく、世間一般にそう言われる事なので、
致し方もなく日を送っていたが、何分不快なことであり、

終に筒井家を立退き牢人となった。

 

そして諸大将の器量を見て回り、蒲生家に出向くとこのように申し上げた。

「拙者の事、きっと聞き及ばれた事もあるでしょう。

臆病者の板倉権内です。
臆病者であってもお使い下さるのなら、御奉公仕らん。」

居合わせた蒲生家の侍たちは、「これが臆病者の権内か」と言いながら、

非常に軽蔑した様子で、奥に行きその事を言上すると、

蒲生氏郷が出てきて聞いた。

「その方が権内か。どうして私に仕えようと思って来たのか?」

権内は答えた。
「臆病者を抱える主君は、あなた以外にはあり得ないと考えましたので、

この様にまかり出ました。」

氏郷は深くうなずき、即座に彼を召抱えた。

その後、合戦が起こり氏郷はこの権内を連れて出陣した。
この戦場で権内は抜群の働きを成し、大将分の首を二つ取った。
氏郷は大喜びし「まるで吾妻鑑に出てくるような武功だ!」と、

即座に二千石を与え物頭とした。

 

これより権内の臆病者の名前は消えうせ、諸国に勇名を轟かせた。
これに、

「家臣が豪胆か臆病かは、主君が用いるか捨てるかにあるのだ。」

と、その頃の人は言ったそうである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ レオン氏郷・異聞、目次

 

 

 

 

 

 

 

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