細川忠興は若い頃、いつも蒲生氏郷の悪口を言い、氏郷もまた忠興の悪口を言っていた。
ある日、忠興が利休のところで、
「蒲生氏郷は数寄者ぶっておりますが、
裏口には乗馬用の沓や鼻紙などが散らばっています。
あれでは数寄者とは呼べません。」
と悪口を言った。
これに対し、利休は、
「それでもよろしいでしょう。数寄さえしているのなら、
私はそれで構わないと思います。」
と答えた。
すると、蒲生氏郷が、
「誰かが私の悪口を言っているようだが、その者が恥をかくのは、
うれしいことだ。」
と言って勝手の障子を開けて姿を見せた。
氏郷は、
「ある者が私の悪口を言っている奴がいると、すぐに告げ口してくれたのだ。」
と言って大笑いした。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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