蒲生氏郷は、常にこう言っていた。
「人衆を戦場にて使うに、
ただかかれかかれと計り下知していても、かからない物である。
かかれと思う所には、大将自身がその場に至り、
『この所へ来たれ!』
と言えば、あえて大将を見捨てるような者は居らぬものである。
しかし大将自身は後に居て、ただ士卒をかからしめんとしても、
かかることは無いものなのだ。」
氏郷はその言葉の如く、人を新たに抱えた時は常に、
「この家には銀の兜をつけた侍が、いつでも一番に乗り出して、
諸卒に先立って働いている。
なのでこの男に劣らぬように稼ぐべし。」
そう言い教えたという。
これ則ち、氏郷の鯰尾の銀兜のことであり、
働きを諸軍に先んじていた故であるという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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