松井宗信の血気の勇☆ | げむおた街道をゆく

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桶狭間の戦いの折、遠州二股の城主・松井五郎八郎は、
義元の討死によって呆然として落ちて行ったところで、

井伊信濃守と出くわした。

「信濃殿、大将は討死された。

本陣は崩れてしまったから見届けずともよい。」

松井が声をかけると、井伊はにっこりと笑って…。

「兄の肥後守の申し付けで本陣へ見廻りに参るところでした。
味方が崩れたからとこのまま立ち帰るのは、

それがしの本意ではありません。
兄に敗軍を見物して帰りましたとは申し難いのです。」

「そうか…そうだな、いざ共に参ろうか。」

松井は井伊の言葉に励まされて取って返し、両人とも討死した。

井伊は弟であって家督ではないから義による本意の討死である。
しかし松井が討死したのは軽率であった。

この人には、父がいたが子はいない。
終いには跡目は断絶し、

七十余の父は、武田に生け捕られて老後の恥辱を受けた。
これは五郎八郎の不孝である。

初め大将討死の場にて、

松井が共に死ぬのは士の道であったが、

墓場とすべきところでもないのに、

井伊の言葉に従って、父のことを思わず引き返したのは、

血気の勇であった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!