今川義元が、三河表に発向するという時の事、
不思議な夢を見たことがあった。
夢のなかに花倉(花倉の乱で義元と家督を争った玄広恵探)が現れ、
義元に対し、
『今度の出陣は止めるべきだ。』
と云った。
義元はこれに、
『貴様は、私への敵愾心からそんな事を言うのだろう!
そんな話を聞くことは出来ない!』
そう答えたが、花倉は更に云う、
『今川の家が滅びるということを、どうして憂わざるか!』
そこで目が覚めた。
その後、駿河の藤枝を通った時、
義元は突然刀に手をかけた。
「町中に花倉が立っている!」
しかし周りの者達には何も見えなかった。
不思議な事である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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