戦国の世では、口ばかり達者で戦わない者は、臆病者として憎まれた。
武田信玄が、信濃の国上田原で合戦をしたおりの事である。
多々良樋五左衛門と言う者が、
この合戦での同僚たちの働きについて、
あれこれと悪し様に批評した。
それを聞いた信玄は日向大和守、内藤修理の両人に言って、書付を樋五左衛門に下した。
それに言う。
「お前は三十七になるまで、一度の手柄も立てたと聞いた事がない。
それなのに諸朋輩の良し悪しを言い立て、人に腹を立たせること、
これは大悪党の所業と変わらない。よってこれを正す。」
と、樋五左衛門は絡め取られ、首を落とされたと言う。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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