これは、高坂弾正が言われたことである。
武田信玄公は、国法・軍法を、このような物に例えられた。
「御大将とは大工であると考えるべきである。
その下の侍大将、足軽大将、および一切の物頭は、
くさび・釘である。
彼らに大将の命令を伝える、出頭衆、あるいは大将の言葉を承って御使に走りめぐる衆は、
才槌、金鎚である。
諸奉行は鉋、ノミ、鋸、錐である。
御目付、横目の二十人衆、御中間頭は、京砥、上野砥のごときものである。
道具の刃物が切れなくなれば、砥石を以って刃を研ぐ。
さてまた、総人数は材木である。
備は家である。
そうして、よき御大将の分別というのは、
番匠箱より思案、工夫という名の壺金を取り出し、
古今に栄え、あるいは衰えた家の軍立の例に引きあわせて自軍の備を見て、
材木が腐った家の柱を抜き替え、
また新しい柱であっても、やがて折れるであろう所は、
使わずに火にくべるように、
随分と思慮して全体を見ることが必要なのである。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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