武田信玄が、信濃に発向する時、鳩一羽が庭の前の樹上に来た。
人々はこれを見て、口々にささやいて喜ぶ色があった。
信玄が、その故を問うと、
「鳩がこの樹の上に来る時、合戦大勝にあらざる事はありません。これは御吉例です。」
これを聞くや信玄は、その鳩を鉄砲を以て撃ち落とし、衆の惑いを解いた。
鳩がもし来ない時は、人々に結果に対して疑いくじける心が生まれ、
戦が危うくなることを慮ったのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

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