島津義久が、大友氏を攻めて所々に乱れ入った時、志賀太郎親次は、
一人、義久に降らなかった。
義久は松の尾の城にいたが、秀吉が大軍で九州に渡ると聞いて、
薩摩に引き退いた。
大いに喜んだ親次は、
「険阻の地に、兵を伏せて打ち破れ。」
と言って、鉄砲の手利き20人を選び出し、山海が嶺の林に待たせた。
そんな折に、首藤五郎大夫と堀八郎という者が、今回選ばれずに残ったことを、
口惜しく思い、密かに道に隠れて薩摩武者2騎を撃ち落とした。
「さては伏兵がいるぞ!」
と言う間こそあったが、
大軍が林に入り草を分けて探したので、
20人の者たちはやむを得ず、薬を惜しまずに鉄砲を散々に撃ちかけて、
追い来る者たちを撃ち殺して引き退いた。
親次は大きな溜め息を吐き、
「義久に山海が嶺を決して越させないはずだったのに。
義久は天の助けに巡り合ったのだ。」
と、言った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!