明智光秀が、貧苦に苦しんでいた頃の事。
光秀は、尾張清洲の織田信長にまみえて、
信長との繋がりを作りたいと考えていたが、
なにぶん金がなく、尾張までの路銀を用立てる事ができなかった。
よって自分の家に商人を呼び、持ち物をすべて売ったが、
これも大した金にならなかった。
さて、その時商人が、光秀の前に黄金一枚を出してきて
「貴方は良く物を知っているということなので訊ねたいのだが、
この金は本物であろうか、それとも偽物であろうか?」
光秀、これを見るとたちまち怒り、怒鳴った!
「なんだこの贋金は!?贋金をそれと知って用いるものは死罪となるのだぞ!」
これに商人は驚き慌て、その金を溝に投げ捨てると、
顔を青くして逃げるように帰って行った。
すると光秀、にこりと笑い、大喜びでその金を拾い上げ、
これを路銀として、直ちに尾張へと旅立った、との事である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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