巡り巡って | 夕暮れ 坂道 島国 惑星地球

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高橋徹也 official Blog

 
高橋徹也です。
 
レコードやギターが大好きな自分ですが、お金の都合などでやむなく手離す時もあります。断捨離とか部屋の片付けの時もそうだけど、自分が好きで手に入れたものを処分してしまうのは、何となく罪悪感があるというか抵抗があるものです。例え今は聴かないレコードや使わない機材でも、この先どうなるかわからないしもったいないなと。
 
三十代の頃、同じくレコード好きの人とそんな断捨離について世間話をしていた時、その人から「レコードなんて巡り巡ってまたそれを望む人のところに戻ってくるものだよ」と言われて、なるぼど!と凄く腑に落ちた記憶があります。今ではその人が誰だったかも憶えてないし、多分その人自身も嫁さんに隠れてこそこそレコード買っては怒られてるような、ろくでなしのおっさんだと思うけど(笑)。なかなか含蓄のある言葉でしたね。それ以来、棚に眠っているレコードや楽器より、今必要なこと、今望んでいることを大切にしようと思えるようになりました。いずれにせよ物欲には抗えない俺、という話ですが。煩悩。
 
 
伝わらない前提
 
音楽活動を通じて学んだことのひとつは、自分の感覚や真意なんて簡単には他人に伝わらないものだ、ということです。これ決してネガティブな意味で言ってるわけでなく、ある意味当たり前のことを音楽を通じて学んだという話です。ソロシンガーとして活動する場合、どうしても自分がこうしたいとか、他人にこうして欲しいとか、そういうコミュニケーションのやり取りが増えてきます。そうした時、二十代の頃はとにかく自分の音楽のことを全部わかって貰おうとして、必死に説明してはいつも空回りしていました。曲のイメージや歌詞の意味、込められたメッセージとか。そんなもの例えあったとしても全部伝わるわけないし、伝わらなくていいんですよね。そんなことにようやく気付き始めたのが三十代半ば。それ以降は何かひとつだけでも伝わればそれで御の字。伝わらない前提でちょうどいいと思ってます。これって諦めともまた違うし自然と身に付いた技術とでも言うのかな。とにかくそんなことを心掛けていたらスタジオでのやり取り、他人とのコミュニケーションもみるみるスムーズになり。言葉や説明が少ないほど伝わりやすいこともあるんだなって。だから自分にとって音楽の現場は人間として一番の勉強の場です。
 
 
相談の種類
 
他人に相談する時、純粋に答えやヒントを探している場合と、すでに自分の中に答えがあって、それを確かめるために意見を乞う場合と、大きく二つあるように思います。僕の場合は圧倒的に後者、つまり自分の中に答えがあって他人に相談するタイプです。そのタイプって結局どんな意見も自分の都合良く解釈するだけなので、相談される方はたまったもんじゃありませんよね。そういう自分に付き合ってくれる友人、諸先輩方には本当感謝しかありません。
 
そして今回、そんな俺の相談あるあるに付き合ってくれたのが、ハックルベリーフィンのベーシスト、山口(タケ兄)さん。山口さんにはギターの機材について事あるごとに相談に乗って貰っていて。ずっと気になっていたエフェクターについて色々とやり取りしていました。俺も人のことは言えませんが、山口さんはちょっとこの人どうかしてるってレベルの楽器好きで。いつもこちらが求めている以上の魅惑的な情報を送ってくれるから逆に困ってしまいます。もし山口さんみたいな人が楽器屋の店員さんだったら、俺は間違いなくカモられて破産してるでしょう(笑)いつも貴重な情報ありがとうございます。
 
さて今回の獲物は歪み系エフェクターで、いわゆるオーバードライブと呼ばれるものです。ここ数年メインで使用しているギリシャのハンドメイド・ブランド "JAM pedals TubeDreamer 58" とセットで使えるようなブースター・タイプのものを探していました。このブースターと呼ばれるエフェクターの類。自分も数年に渡りいくつか買って試してきたのですが、なかなか満足できるものには辿り着けず。ライブの度に水面化でずっと試行錯誤してきました。自分は基本的にアンプのナチュラルに歪んだ感じの音が好きで、比較的控えめな歪み、クセのないクリーンなブースト感を求めてエフェクターを探してました。それなら始めからオーバードライブではなくクリーン・ブースターでいいんじゃない?という話になりますが、それだと音的に満足いかないのです。簡単に言えばクリーン・ブースター寄りのオーバードライブとでも言いましょうか。そういうエフェクターをずっと探していました。こういう話になるとギター好き以外は面白くも何ともないですよね(笑)この辺でやめときます。それでまぁここ数ヶ月の間、様々な動画を観たり、レビューを読んだり、山口さんに相談したり、実際にお店で試奏したりと、散々試して買ったのが J. ROCKETT AUDIO DESIGNS "ARCHER"(下の写真参照)というやつです。最後は直感と見た目で決めました、、って見た目かよ!(笑)早速スタジオで試したところ、これがまた期待以上の音の鳴りで。思わずスタジオでひとりガッツポーズ状態でしたね。基本ギターやエフェクターなんて気に入ったものが最低限あればいいです。何でもかんでもたくさん欲しいわけじゃありません。ただその一生ものと呼べる道具に出会うために日々アンテナを張っているわけです。何かに夢中になるって本当に楽しいことですよね。
 
 
あとがき
 
近年激しさを増す日本の雨季。今もどこかで大変な思いをなさっている方がいらっしゃると思うと胸が痛むし言葉もありません。そんな大変な時にテレビやネットからは目を疑うようなニュースばかり。現状に対する憤り、憂い、ひしひしと感じます。それでも自分はこれまで以上に熱く楽しく音を鳴らしていくだけです。微力ながらでも出来ることを全力で粛々と。頑張ります。頑張りましょう。
 
それではまた。
 
adios!
 
 
高橋徹也