「サンライズ瀬戸・出雲」など一部の列車を除けば、国内から「夜行列車」なるものが事実上姿を消して久しい感があります(繁忙期やイベント時に臨時で運行されることはありますが)。
ところがここに来て、優等列車を含め各地で「復活」の動きがみられます。
なかでも話題を呼んだのは、6月22日に発表された、東海道新幹線に「22時台首都圏出発、翌朝6時台に関西圏到着」という、一夜限りの特別列車「東海道ルミエールエクスプレス」が運行されるというニュース。
*「東海道ルミエールエクスプレス」は商標登録出願中
*ルミエールとはフランス語で「光」の意味。「朝の光」と「新しい一日の始まり」をイメージしているのだとか
運行スケジュールは、8月8日(土)の22時ちょうどに東京駅を出発し、品川、新横浜の各駅に停車(いずれも降車不可)、以降はノンストップ(名古屋通過)で、翌9日(日)の6時44分に京都着(乗車不可)、終着駅新大阪には6時59分到着とのことです。
それにしても最速タイプで2時間30分ほどの東京-新大阪間を、3倍以上の9時間かけて走るなんて、どんだけゆっくり動くんだよ、と思っていたら、停車はするけど客の乗降扱いはしない「運転停車」のための駅が途中に設定されているようです。
その駅とは…なんと岐阜羽島駅!
同駅には24時頃到着。その後6時間ほど停車し、時間調整をするもよう。
結構長く停車するのですが、JR東海のニュースリリースによると、それほど自由に過ごせるわけではありません。
岐阜羽島駅では到着後と発車前に30分程度、新幹線のドアが開くそうですが、ホームに出て利用できるのは改札内の自販機と喫煙所のみ。
改札口の外に出ることはできません。
また、駅売店や車内販売も営業を行なっておりません。
さらに岐阜羽島駅では、停車中の時間帯に線路・設備等の保守作業を実施しているそうで、鉄道好きだと見学したい気持ちもあるでしょうが、これとて自由に見られるわけではなさそうで。
それどころか「作業に伴う音や振動等が車内まで届く可能性がありますので、あらかじめご了承ください」と案内されているし。
*室内灯は常時点灯しているそうです
この列車を利用するには、7月3日(金)14時よりJR東海ツアーズの申し込みサイトで旅行商品として販売されるので、それに申し込むことが前提。
旅行代金は東京発新大阪着の普通車指定席、おとな1名様で税込15,000円!
「宿泊料金込み」でこの価格とは、まさに驚愕ものです。
そのほかグリーン車の商品や、こども用の商品も販売されるそうですが、惜しむらくは一夜限り、しかも片道運行であること。
好評であれば定期化、いや季節運行されたり、上り列車(この場合、運転停車駅はどこになるのだろう)も運行されるかもしれませんね。
なお6月29日現在、申し込みサイトでの詳細な発表はありませんが、噂では「窓際席」だけの発売になるとか。
つまり複数席をひとりで、寝転がれるように利用できるとのこと。
大雨や地震などの時にやむをえず「開業」する、いわゆる「列車ホテル」よりはマシといったところでしょうか。
一方、JR東日本は新幹線ではなく、常磐線などで使用されているE657系特急型車両を改造し、在来線を走る新たな夜行特急を、2027年春(予定)に導入するそうです。
こちらの愛称は「ルナ・アズール(スペイン語で「青い月」)」。
文字通り、外見こそかつてのブルートレインを彷彿とさせますが、車内は従来の二段・三段ベッドがずらりと並ぶ光景とはほど遠く、全席がグリーン車指定席の個室タイプ。
定員は1~4名で、内装もさまざま。
ラウンジも用意され、より快適で、ラグジュアリーな旅が楽しめます。
肝心のルートは、春~秋にかけては上越線・羽越本線経由で、品川-青森間。
下りは品川21時頃発、青森9時半頃着。
上りは青森16時頃発、品川7時頃着で、週2往復運転されるようです。
なお冬季は夜行列車ではなく、品川-長野原草津口間を昼行として、週6往復運行予定です。
思えば、かつて絶滅状態にあったSLが復活したのは、「旅にロマンを求める」という需要が大きかったからだと記憶しています。
それに対して今回の夜行列車の復活は、ロマンの側面もあるのでしょうが、折からの物価高、宿泊費等の高騰に対し、少しでも節約したいという利用者が多いことが主な理由であると、大部分の大手メディアは報じているようです。
ああ、世知辛い現実。
見渡せば、外国人旅行者は増加していると感じても、相対的に日本人旅行者はあまり見かけなくなったと思うこともある昨今。
7月からパスポート手数料が値下げされる(このブログで既報)のに、それに乗じて海外旅行ブームが起こっているなんて、口が裂けてもいえない円安社会。
国内にしろ海外にしろ、気軽に旅行を楽しむ機運が「復活」するのは、果たしていつのことになるのでしょうか。