先日7月27日発行の日本経済新聞夕刊一面の左上にある「今日の紙面から」の見出しに、「『鉄道じまい』どこまで?」という表記を見つけ、はたしてどんな記事なんだろうと想像を膨らませました。
「墓じまい」など、「~じまい」という表現は最近になってちょくちょく目にしますが、「鉄道じまい」は、正直見聞きしたことがありません。
ひょっとして、「終活」の一環として、これまで集めた鉄道関係のコレクションを整理するとか、何かあったときのために譲渡や販売などについて考えるとか。
あるいは、自分の趣味が暴走しないように、たとえば「JRだけ」「関東地方の私鉄だけ」といったように、決めた範囲を越えないように線引きするとか。

実際の記事は利用者目線ではなく、あくまで経営側の立場からの「鉄道じまい」でした。

記事ではまず、JR北海道の留萌線が今年3月末で全線廃線となったことを告げ、さらにJR東日本の久留里線と津軽線が、2027年4月にそれぞれ一部区間が廃線、または廃止の方向であると伝えています。
また第三セクターの路線では、福岡県を走る平成筑豊鉄道が営業3路線を廃止し、路線バスへの転換方針を打ち出したこと。
同線沿いには学校が多く、バス会社からも運転手不足で対応が難しいとの声もあったのですが、それでも廃止という結論に至ったそうです。
これらに限らず、多くのローカル路線では輸送人員が伸び悩むのに加え、昨今の物価高、とりわけ燃料価格の高騰が一層の打撃となり、老朽化した設備の維持コストも経営を圧迫していること、そして豪雨などで被災し、復旧できずに存廃が議論されている鉄道も少なくないのは、皆さんも実感されているでしょう。

もっとも暗いニュースばかりでなく、記事ではそれに続けて、健闘している路線を紹介しています。
例えばJR只見線。
2011年の豪雨により福島県の一部区間が不通となっていましたが、11年後の2022年に再開。
この復旧劇の鍵となったのが、県がインフラ部分の施設や土地を保有し、鉄道会社が車両運行を担う、いわゆる「上下分離(公有民営)方式」。
これだと鉄道会社の負担が軽減されるので、路線維持が進みやすくなり、実際のところ、再開後の沿線の観光客数は2割増え、経済波及効果も鉄道の維持費を上回る成果があったとか。
同じく、2024年に上下分離方式に移行した滋賀県の近江鉄道も営業赤字が31年ぶりに解消。
同鉄道では通勤通学定期の利用を呼びかけるなどして、輸送人員は5年連続で増加しているとのことです。
そのほか、利用者を増やす取り組みとして、学生対象に1年間乗り放題乗車券を発売(千葉県・小湊鉄道)や通学定期を半額化(秋田県・由利高原鉄道)、無人駅へのテナント誘致と人気アニメとのコラボ(静岡県・天竜浜名湖鉄道)などの施策が取り上げられています。

そして記事の最後は、「財源をどう作るか」が鍵になるとして、国土交通省のローカル鉄道についての有識者検討会がまとめた文書に「安定的な財源の確保」が明記されていると紹介。
会では森林環境税などのように、利用者に負担を求めるべきとの議論もあったようです。
具体的に、観光鉄道への道を歩むべく運賃の値上げに踏み切った鉄道会社、交通税の導入を打ち出した自治体なども記事内でちょこっと触れ、結局のところ、地域の熱量が「財源論」を左右するのではないかと結んでいます。

うーん、地域の活性化を図るうえで少なからずつきまとう「鉄道の存廃問題」。
感情論を持ち込んではいけないことはわかっているのですが、鉄道好きとしては、考えるたびに堂々巡りに陥ってしまうのです。